アイドルって素晴らしい 〜Idolife is beautiful〜

大好きなアイドルを日本中、世界中に広めたい。たまにラーメンと映画と、他にも色々書くかもしれません。お昼休みの暇つぶしにどうぞ

小説『ひらがなで恋したい』1

 

こんにちは、みるふぁん(@milkeyfantom)です。

今回は、人生初めての試み 、連載小説に挑戦してみたいと思います。

投稿の目安は1週間に1度を理想としていますが、なにぶん勢いで始めたものですので、正直どうなるかわかりません。生暖かい目で見守っていただければと思います。

少しでも面白いとか、続きが気になるとか思っていただいた際には、コメントしていただけると、それが何より続きを書くモチベーションにつながると思いますので、何卒よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

 

『ひらがなで恋したい』

 

 

 

 

2019年 7月

 

「あーもう、なんで高校生にもなって漢字の書き取りなんかしなきゃいけないの〜」
「ほんまそれよな〜」
美穂が机に突っ伏すと、好花もシャーペンを机に放りなげ背後のベッドにもたれかかった。

「こんなんに意味とか求めたらあかんよ」
そう言いながら菜緒は姿勢を崩さずペンを動かし続けている。
「ていうかこの部屋暑くない!?なんでクーラーついてないのよ〜」
「美穂がうち来てみたいって言ったんやから文句言わんでよ」
「えー、そうだっけ〜」
美穂は一瞬だけ記憶を巻きもどそうとするが、開け放たれた窓から降り注ぐ蝉の鳴き声に打ち消される。
「あーそんなん言われたら暑くなってきたわ、もうムリ!ゲシュタルト崩壊起こしそうやわ」
「げしゅたると??まずそう〜」
美穂がそう言うと好花も
「げしゅたると〜げしゅたると〜」
と唱えはじめ、2人でゲラゲラと笑った。

 

 まだ夏休みに入ったばかりで7月の終わりだというのに、岐阜だかどこかで史上最高気温を更新したらしく、東京でも日中35度近くになる日が続いている。

「ていうかさ、そもそもまだ夏休み始まったばっかだし、宿題なんて今やる必要ないじゃん。せっかくの夏休みなんだからもっと楽しいこと考えようよ!」

「そ れ も。美穂が『今年は夏休み序盤で宿題片付けて思いっきり遊ぼう』って言い出したんやからね?」

そう言いながらも菜緒の手は動き続けている。

「え〜そうだっけ〜。でもやっぱ夏と言えばさ、かき氷とか、流しそうめんとか、スイカとか!」
「美穂食べ物ばっかりやん」
「え〜じゃあ好花はどうなのさー」
「うーん、わたしはプールに行ければいいかなー」
「え、いいじゃん、プール!水着買わなきゃだね!」
「いやいや、わたしは入らへんよ?先輩の最後の試合があるから応援に行きたいの」
「なんだ〜そういうことかぁ、好花も物好きだよねー、井口先輩のどこがいいんだか..」
「えーとね、いっぱいあるんだけど、やっぱり1番は試合のときの姿かな、、今にも溺れそうなのに必死に周りに食らいつこうとするあの表情がたまんないの」

美穂は、はいはい、と適当に相槌を打って聞き流す。この話は好花と出会った日から1年半聞き続けているのでさすがに聞き飽きた。

 

「ねえ、菜緒は?菜緒は何かやりたいことないの?」
「…えっ?何の話やっけ?」
「えー、聞いてなかったの?もういいよー」


「え、待って、菜緒もうそんな進んだん?やば!わたしももうちょっとやっとかないと」
好花が慌てて書き出したのにつられて、美穂も渋々ペンを手に取る。書き連ねられた漢字を見つめていると、何だかそれが正しいものではないように思えて、目線を外す。窓から見える大きな雲や照りつける太陽、いったん鳴き止んだと思えばすぐに鳴き出す蝉の声、その全てが夏の暑さを助長させている気がした。

 

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